夏の空を仰ぐ花
そして、その後はとびっきりの笑顔を見せて。


いつも思い出さなくていいから。


たまに、一瞬でいいからさ。


夏の空を見上げた、ふとした一瞬でいい。


空の片隅で笑っている太陽がいたから、ふと思い出してくれればそれでいい。


それは、あたしです。


太陽になって、補欠を見守っています。


だから、あなたは自分の信じる道を真っ直ぐ突き進めばいい。


世界中が補欠を敵に回しても、あたしは味方だから。


補欠が望むなら、風になる、雨になる。


補欠が青空なら、その空をあたしが照らす。


補欠がひまわりなら、みちしるべになる。


だから、笑って。


ずっと、笑っていてね。


あたしはいつだって、夏の空を仰ぐあなたを、見つめています。


どんな時も、ずっと。


頑張れ、補欠。


負けるな、補欠。


さよなら、補欠。


きっとまた、逢いましょう。


その時もあたしは、また恋をしてしまうんだと思う。


青空が一番似合う、あなたに。


死にものぐるいの、恋を。


「……響……也……」


最期に見た景色。


それはそれは、蒼く、碧く、青い、無限大の夏の空。


夏の空を駆け抜ける、一球の野球ボール。


そして、彼の笑顔。




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