夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
晴れの日も、雨の日も、雪の日も。


嵐の日だって。


とにかく楽しくて、とにかく眩しくて、幸せだった。


あたし、知らなかったよ。


生きることがこんなに幸せなんだってこと。


補欠に出逢って初めて知ったから。


恋は切なくて苦しくて、苦くて、だけど、甘ったるくて。


幸せが集まった、ひだまりだってこと。


補欠に出逢って、魅せられて、夢を持った。


だけど、今は少し、さよなら。


きっといつか、また逢えるから。


それまで、さよなら、ね。


あたし、本当に愛してた。


大好きだった。


だから、響也も。


また誰かに出逢って、恋をしてね。


そして、その人をたくさん愛して、大切にしてください。


いつまでもあたしの事忘れられないなんて言ってたら、幸せ逃がしちゃうんだから。


補欠には誰よりも幸せになって欲しいんだ。


だから、ちゃんと前に進んで下さい。


幸せな時は、あたしの事を忘れて下さい。


幸せな時にあたしを思い出すのはやめて下さい。


でも、辛くてどうにかなりそうな時は、一番にあたしを思い出して。


何かに躓いたら、無理に進もうとせずに、そこに立ち止まってください。


あたしが風になって、その情けない背中を押すから。


悔しい事があって悲しくて、泣きたい日は、我慢しないで思う存分泣いて下さい。


大丈夫。


あたしが雨になって、その涙を隠すから。


だから、全力で泣いてください。


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