クローバー
「さっきね。監督から…」
「何?何だって?」
帰りの途中、監督からの言葉が蘇って来た
「さっき監督から本当に部員で良かったのかって聞かれた」
「それで、茜は何て答えたんだよ?」
大きな背中から言葉が返ってきた
中学までは果梨はちびで、あたしより小さかった
でもいつしか背を追い越されていた
今じゃ見上げる程背が高い
「別に好きでやってるから大丈夫だって言った」
「ふーん。でもそれだけじゃないんだろ」
「まぁね」
果梨の背中から目を離し、茜色に染まった空を見上げる
今から巣に帰るのか、小鳥が飛んでいた
「あたしって昔から負けず嫌いだから」
「ふはっ。男子には負けたくないんだったんだな」
「何だよ。わりぃのかよ」
「いや…」
「この野郎ッ」
「おいッ!!止めろ!!あぶねーッ。落ちる落ちる」
果梨の首を締めるふりをする