クローバー
5 運命の日
あたしは高校生だからまだ「死」について考えたことがなかった
「茜さんは白血病という病気です」
「白血病って…あっあなた…」
お母さんがお父さんに縋り付く
「白血病って…あ、あのガンのことですか?」
あたしは声が出ずにただ静かに耳を澄ましていた
「……血液のガンです」
ガン…
ガン…
血液の…
ガン…
「あのっ先生!!」
お母さんが静寂を切り裂くような涙声で言った
涙声ではなく絶対泣いているだろう
「何ですか?」
「何かの見間違いってことはないのでしょうか?」
お母さんが先生に尋ねる