原石のシンデレラ
「今日は来てないのかと思いましたよ」

僕が、ワザと答えると不機嫌そうに、エリーゼは言葉を返す。


「…あら、失礼な言い方ね?…私は毎年、此処の舞踏会に来てるわ。気づかなかったとは言わせないわよ」


クスッと上品に笑うエリーゼを見て、僕は少々呆れ気味に溜め息を吐くと、エリーゼは、ムッとした表情で叫んだ。



「ーーロイッッ…私は今まで、ことごとくフラれ続けて来たけど……やっぱり諦めきれないわ!!……だって、貴方のことが好きなんですもの…分かるわよね、私の気持ち」



「ーー君は、諦めの悪い子ですね…僕は疲れたから、もうお休みしますよ」


自室に向かおうとする僕を、エリーゼは後ろから抱きしめて制した。


「ロイ…!!私、知ってるんだから…ユキシって女に惚れたんでしょ?……あんな子の何処が良いの!?……貧乏臭いだけ…」

《バシッ!!》


「ーーいい加減にしなさいッッ!!…それ以上、彼女を侮辱しないで下さい。聞きたくありません」


エリーゼは、叩かれた頬に手を当てて、信じられないと言うような表情で、睨みつけていた。


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