原石のシンデレラ
ーーお母さん、お父さん…私、頑張るから…遠くで見守っていて下さい。


携帯を開いて時刻を確認すると、もう17時を指している。


「ーよし、また明日からバイトだから…お風呂入って早く寝ようっと」


お風呂場へ進み中を覗き込み、辺りをじっくり見渡した…。何だか少し狭いように感じられたが、独り暮らしだから、こんなもんなのかな…。


蛇口を捻ってから、しばらくすると暖かい白い湯気がモクモクと、天井に向かって、ゆっくり伸びていく。


やっと一段落して、気持ちが落ち着いたせいか、ホロリと涙が頬を伝い、冷たい床の下にポタポタと静かに落ちた。

「ーーうっ…グス……おかあ…さん…、おと……さん…」

胸につかえていたものが、一気に無くなる度に涙は止めどなく流れ、小さく嗚咽した。


ーーお母さんとお父さんに、まだ何も親孝行してあげれなかった…。



ー私、もっと一緒に居たかった…。





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