原石のシンデレラ
しばらくすると、ガタガタと音を立てて、ドアが開かれた。中年の男性が戻ってきた。

「せっかく来てくれたのに、申し訳ないね。…さ、座って…」

その言葉に頷き、カウンターの席へと腰を下ろすと、テーブルの前にメニュー表が置かれた。


メニュー表に目を通す。飲み物、軽食、デザート…種類は意外と豊富だった。


「ーーあの…1人で経営してるんですか?」

雪詩の問いに、ゆっくりと視線を向けると、柔和な表情で、コクリと頷く。


「ー今はね。僕がマスターとして1人で経営してるよ」

柔和な表情から、ふと悲しげな顔つきになるのを見て、何だか…これ以上聞いてはいけないような気がして、雪詩は言葉を止めた。


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