『ずるいヒト。』

彼女のなるままになって。
支えることも出来なくて。
聞いてあげることも出来なくて。
自分が知りたいことも聞けなくて。
臆病さや純粋さで身を守って。


…逃げるばかりで。


そんな僕が、本当はずっと…きっともっとずるいヒトだ。

それでも君は、

「直、また来るわ」

僕に優しい笑みを見せてくれる。

君を失いたくないばかりに、君の為にならない僕を傍に置かせて。

君の為に…
『さよなら』にも踏み切れなくて。

泣かせてしまう僕が。

泣けない…僕が。

本当は、あの日会ったときから…











一番ずるい男だったんだ。



END






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