『ずるいヒト。』
僕は直ぐに電話を掛けた。
プルルルルッ…
プルルルルッ……
<はい>
彼女の声だ。
「僕です。あの…ピアス忘れてます…」
<あぁっ…ごめんなさいそれ、捨てておいて?>
その一言に、酷く自分が傷付いた。
何故だろうか…?
<貴方?聞いてる?>
「あっ…は、はい」
少し痛んだ胸に手を宛て、急いで彼女に返事をした。
<今日の夜、空いてるかしら?>
ふと、彼女がそう呟いた。
彼女のこと何も知らないのに……ピアスも無いのに……また会うのだろうか。
僕は会えるのだろうか。