スターフィッシュ‼︎
「それから貴也様と同じ高校に入るために一生懸命勉強して、貴也様に近づけるようにメイクやお洒落も覚えて、性格も明るくなろうと頑張って」
「……そうなんだ」
「ライブに何回か行ったんですが、ある時貴也様が、いつも来てくれてありがとう、ってあたしに話しかけてくれたんです!
もう嬉しすぎて、生きてて良かったって思えちゃって、気がついたら、貴也様のことを四六時中追いかけまわしちゃってました」
そう言って、カナタちゃんは舌をぺろっと出して笑った。
うっ、去年のストーカー疑惑のことか。
「でも、STARFISHが始まってから、貴也様はもちろんですが、美緒さんの歌にも元気をもらっています」
「おおお、嬉しい! ありがとう!」
「全力で思いをぶつけてくるような、でも、パワフルなんだけど温かいんです。初めて女の子ボーカルで好きだなぁって思いました。この前の弾き語りも良かっ……」
カナタちゃんが語っている途中。
ひゅん、と大きく音を出しながら、あたしたちの間を風が通り抜けていった。