スターフィッシュ‼︎

そして、間奏が明け、再び音が静かになり、あたしは歌でお客さんを包み込む。


届くことはないけれど、ずっと追いかけることで、あたしも前に進むことができる。


切ないけど、悲しいだけじゃない。

この恋をすることで、自分自身も変わっていく。


それはいつしか自分の生きるパワーになっていく。


そんな思いを込めた歌。


STARFISHの初ラブソング。

共感してくれるかな。届くかな。


音の雰囲気に合わせて、あたしたち4人の後ろに設置してあるライトが明るく光った。

照明さん、ナイス!

後ろからの光によって、フロアのお客さんも照らされ、皆の表情がよく見える。

お客さんも皆あたしの歌と言葉を感じてくれているようだ。


ああ、嬉しい。


お客さん1人1人の顔を見ながら、歌を続ける。

そして、もう一度、最後のサビの前に、短い間奏をはさむ。


その間奏に入った時。


――ん?


お客さんたち越しにフロアの奥。

ゆっくりと扉が開いた。
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