スターフィッシュ‼︎

名前、名前……えーと。


「貴也……」


あたしがその名前を呼んだ瞬間、


「美緒、俺様への愛を全力で歌え」


と王子は囁き、


そのまま、あたしの唇に柔らかいその唇を重ねた。



そして、


「おい、うちのボーカル見つけたぞー!」


と王子は大声を出し、全身が固まったままのあたしの腕を掴んで、

ステージ裏に向かって走り出した。



え?

えええ?


ええええええええええ!?



き、ききききキス、されちゃったーーーー!?



でも、そのキスは、柔らかくて、温かくて。


頭の中が破裂しそうなほどの背徳感に襲われたとともに、

王子に出会ってからの1年間、ずっと押さえつけてきた思いが溢れだした。



大げさだけど、

一瞬で、世界が変わったような、気がした。


なにこれ、超やばいんだけど!!



しかし、そう思う間もなく、ドタバタとステージ横にスタンバイしているあたしがいた。

それから、ふわふわとした感情のまま、4人で拳を合わせると、司会の2人があたしたちのバンド名を呼んでいた。


あわあわあわあわあわ!

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