スターフィッシュ‼︎


「…………」


ライブ後のリラックスした雰囲気から、

突然、しーんと張り詰めた空気になった楽屋の中。


外から、あたしたちの次のバンドの歌声がかすかに聞こえてきた。


うーん、激しいロックンロールで格好よさげだけど、

ちょっとボーカルが細い声で音に埋もれているなぁ。


中々王子が話し出さないので、あたしはそんなことを思っていた。


サビに入ったところで、ようやく沈黙が破られた。


「ごめん。俺、実はあるところからオーディションの誘いを受けてて……」


そうか細い声を出した王子は、

前髪で目が隠れるくらいに下を向いていた。


ゆーたと良夫さんは、無言でその様子を見つめ続けている。


え……!

王子、もしかして――。


「嫌だ! そんな……ふがっ!」


反射的にあたしが大声を出すと、王子は、まあ待て、とあたしの口を塞いだ。


「実はちょっと迷ってた。行くだけ行ってみようかな、って。

……でも、一瞬でもそう思った自分をぶん殴ってやりたいと今は思っている」


「…………」


あたしたち3人は表情を変えないまま、王子の低い声を聞いていた。


どういうこと?

あたしは軽く首を右に傾げた。
< 413 / 434 >

この作品をシェア

pagetop