スターフィッシュ‼︎


『王子様キャラに疲れたり、バンドのことで気負いすぎて疲れた時は、あたしが受け止めてあげるよ。

ほら、前に屋上でやったみたいに、貴也く~ん、よしよしってやってあげるから』


いつか、あたしがそう言ったら、

王子は、調子に乗んなよクソデブ! って言った後に、

ありがとう、と呟いて、あたしの頭を撫でてくれた。


今まではずっと王子についていかなきゃ、って思っていたけど、

時にはあたしも王子を支えたり、守ってあげたりしたいと思うようになっていた。


もちろん、やっぱり王子はキャラも演奏もパフォーマンスも完璧で、今のところあたしの出る幕はないんだけど。



王子は皆をまとめあげてくれる、紛れもないSTARFISHのリーダーだ。



「ほら、ライブ始めるぞ。お前も早く歌いたいだろ」


そう言って、王子はふわりとした優しい笑顔をあたしに向けた。


「……っ!」


実は、その笑顔を見ると、あたしの胸はいちいちときめいてしまっていた。


やっぱり、あたしは王子のことが大好きなんだ。


でも、この思いにはしっかりと蓋を閉めて、心の奥底に閉じ込めておかなきゃ。


あたしは、STARFISHの美緒として生きていくんだから。




『全部やりきった後、もしお前が売れ残っていたら、その時は俺がもらってやるよ』




青春スターダム本番後、楽屋で囁いてくれたこの言葉を信じて。




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