だからこそ、キミは。
佑くんの、困った顔なんて見たくなかった。
佑くんに悲しい顔をさせないように、今まで頑張ってきた。
……だけど。
今ならわかる。
これは佑くんのためでも、優しさでも何でもない。
佑くんが離れて行ってしまうのが怖かった、私のためのものだったの。
『……っ。』
胸が、締まる。
呼吸が、苦しくなる。
既に背を向けてしまってる佑くんの背中を、私は止められない。
止めることなんか、できない。
そんな権利も勇気も、私には残っていないから。