だからこそ、キミは。
顔を手で覆っているからか、真っ暗な世界にいる私。
爽くんは今、どんな顔をしているのだろうか。
いくら周りをほっとけない優しい爽くんでも、怒ってる?
それとも困ったように笑ってる?
どっちにしろその表情は、今まで佑くんと一緒に見てきた表情で間違えなくて。
佑くんがいない今、そんな爽くんの顔は見たくなかった。
「…美優。」
ストン、と。
何かが落ちたような音。
だけど、実際はなにかが落ちたわけではなく、爽くんが私の目線に合わせるようにしゃがみ込んでいた。