だからこそ、キミは。
「佑介に…、フラレたの?」
…なんてことを言ってくれるんだ、この人は。
爽くんには珍しい話題の間違えに、思わず眉を寄せる。
この話だけは、してほしくなかったのに。
『…そうだよ。』
愛想笑いでさえ、する気にならなくて。
自嘲気味に下を向けた視線の先には、爽くんのカラフルなスニーカー。
爽くんは一体、なんて言うんだろうか。
優しい爽くんのことだから、慰めてくれる?
冗談でも言って、笑わせてくれる?
そんな形のない優しさ、今はいらないよ。