だからこそ、キミは。
「はいっ、美優。椅子持ってきたよ!」
私から遅れるように、グループへとやってきたのは爽くん。
2人だけしかいないような佑くんとの空間は、少なからず気まずさを覚えていたから、爽くんが来てくれて安心。
爽くんは、私たちの間に何があったか、一切わからないから。
気を使ったわけではない、いつも通りの屈託ない笑顔を見せていた。
『あ、わざわざごめんね!ありがとう~!』
必死に、明るい声を繕った。
そんな妙なくらいの私の声に、佑くんが小さく私の方へと顔を傾ける。