だからこそ、キミは。



先生に促され座った椅子は、使い慣らされてないのか、クッションの部分が少し堅くて。


思わず、小さく眉を真ん中に寄せてしまった。



『……。』



座ったのはいいけど、ここから一体何をすればいいんだろう。

先生も先生で、一向に黙ったままだし。



どことなく落ち着かない私は、持ってきたお弁当の包みのリボン結びを指で弄ぶ。




『……ねぇ。』



別に、居心地が悪いわけではないの。


前々から思っていたけど、先生との沈黙は息苦しいものではないし、嫌いじゃない。


ただ、今はいつもと少し違う空気に、戸惑いを隠せないだけ。



< 195 / 437 >

この作品をシェア

pagetop