だからこそ、キミは。

遅れ気味のトキメキ




「気をつけ、礼!」

「「「ありがとうございました。」」」




―…先生の授業が終わった、直後のことだった。



『……っ。』



少しだけでもいいから、先生と話したくて。

少しだけでいいから、先生から“私だけの”声を聞きたかった。



既に教室から出て行こうとしている先生を引き止めるかのように、勢い良く机から立つ。




『先生…っ』



先生が、一瞬だけ私を見た。



驚いたように。けれども、真っ直ぐ。



でも、先生が足を止めることはなかったんだ。




< 277 / 437 >

この作品をシェア

pagetop