だからこそ、キミは。



だって、ほら。



「…美優、もう大丈夫。」



最初に抱きしめたのは私なのに、それを解くのは先生だから。


なすがままに先生を離すことしかできない私には、きっと先生は捕まえられない。




『……。』



先生が私の腕をほどく時。

何気なく私の肩に触れて、その時に感じた感触。


―――指輪、の存在。



先生は出会った時からずっと、指輪を離してはくれない。

片時も離さずに、薬指につけている。




< 301 / 437 >

この作品をシェア

pagetop