だからこそ、キミは。



“最初に離れていくのは、先生でしょ?”



指輪を見てそう感じたけど、それを口にすることはしなかった。


口にすれば、先生は困ったように笑うと思うから。




『…お弁当の続き、食べようか。』

「…ん。」




そう言いながら、箸を手に取る。



初めのころ、私がお弁当を食べている時先生は、パソコンをやっていたのに。


今は、何もせずに私を見守ってくれていることが、ただただ嬉しかった。




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