だからこそ、キミは。



『爽くん…。』



気づいたら、声に出していた。


目の奥が震えて、どことなく胸が熱くなるような瞬間。


私は今、とんでもないことを口にしようとしている。




『私、爽くんが思っているような人じゃないよ…?』



汚くて、自分の心を犠牲にしてまで他人に怯えるような奴で。

いつも、何かにビクビクしている。


爽くんに好きでいてもらえるほど、私はできた人間じゃない。




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