だからこそ、キミは。
「……美優。」
爽くんがビックリしたように、その場に立ち止まって。
私もつられるように立ち止まったら、真意の見えない爽くんの瞳と目があった。
ドクン、ドクンと心臓が鳴っている。
今は理科準備室からの帰り道。
このまま立ち止まったままでいると、次の授業に遅れてしまう。
『だって私、人と真っ直ぐに接したことなんか、一度もないし。』
「……。」
『いつだって、周りに見られる自分ばかり気にしていて。
自分の意見なんてないに等しいし、自分を守るためなら平気で嘘をつくもん。』