だからこそ、キミは。
なんで、先生を好きになったんだろう。
できることなら、指輪をしている人なんか、選びたくなかったのに。
それでも、好きになった。
無条件で、初めて愛することができた人。
あたしは、先生が大好きだ。
「……美優。」
先生が、私を抱きしめる腕をゆっくりと離して。
真っ直ぐと私を見つめる理恵さんの方を、一直線に見つめた。
「ありがとうな。」
その姿を確認した私は、ゆっくりと扉の先に出て行ったのだった。