だからこそ、キミは。



先生は、よくわからない人。



生徒の内職も、宿題写しも、知っときながら何も言わないくせに。



私の時ばかり注意するなんて、なんだか不公平だ。




「…あ、スイマセン。」



嫌みとかじゃなく、申し訳なさそうに頭を下げたのは爽くん。


こんな奴のために反省する爽くんは、やっぱり偉い。




私はというと、腹の奥から煮えきれない感情が押し寄せてきて、手のひらが熱くなっている。




『……。』




私の時ばかりは、取っ手をつけたように文句言う癖に。


なんで他の人のは、見てみぬふりをするの?



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