短編面白昔ばなし集
「おじいさんただ今」

 おばあさんが今にも死にそうな声で言う

「お帰りばあさん?この桃はなんだい?」

 桃をスルーしようか迷ったけど突っ込まないと
 先に行けないと思いおばあさんに尋ねるおじいさん

「これは川で拾いました」

 おばあさんが言う

「だから洗濯物が臭いのか?桃に夢中で洗濯を
 忘れたんだな?」

 おじいさんが桃から洗濯物に飽きたから話題を変える

「すみませんおじいさん、明日必ず一緒に洗いますから」

 おばあさんが謝る

「まぁ良いわい!この桃を切って食べよう」

 そういうと調理用の大きい包丁を持ってくるおじいさん

「一気に行って下さい」

 おばあさんが言う

「えい!!」

 おじいさんが桃をすごい勢いで包丁を振りおろし切る

「ぎゃ~~~~~~~~~~~~!!!!痛てぇ!!
 痛てぇよ~~~~~~~~~~~!!!!
 この糞ジジィ!!俺ごと切るんじゃねえよ!!」

 おじいさんが桃を切ると中から玉のようなかわいい
 赤ん坊が出てきて頭から血を吹き出し怒りながら
 喋る

「ひ~~~~~~~~!!赤ん坊が喋ってる!!!」

 おばあさんは血が出ている事の心配より
 赤ん坊が言葉を発した事に驚いた

「てめぇ!俺の心配しろよババァ!!」

 赤ん坊が正論を述べる

「よし!!桃から生まれたから桃太郎と名付けよう」

 おじいさんが安易な考えで赤ん坊に名前を付ける

「おい糞ジジィ!!桃から生まれたから桃太郎?なんだその
 安易な発想は?ダサいだろ?それに台本では俺の名前は
 ジョニーになる筈だろ!?」

 桃太郎と名付けられた赤ん坊が意味不明な事でキレる


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