人間姫
「さっきから黙って聞いていればニーナさまの悪口ばかり」
貴族たちの間から、静かながらも迫力のある声が響いた。
次々と振り返る貴族たち。
「リ、リザさん」
「戻ってきていらしたのね」
声の正体はリザだった。
貴族たちが青い顔で慌て始める。
「……ニーナさまの何を知っているの」
「ごめんなさいリザさん……そんなつもりはないのよ」
「気にいらないのなら誕生会など来ないでください……二度と」
と、言うのと同時に鋭い眼光で貴族を睨みつけるリザ。
これには貴族たちも恐れをなして帰っていった。
「ニーナさま、大丈夫でしたか?」
騒ぎのなかずっと黙々とフレンチフライを食べていたニーナに声をかける。
椅子には未だ座っておらず、床に座りこんで食べていた。
「あぁリザ、またお客さんを追い払っちゃって。別にいいのに……。リザも
ポテト、食べる?」
クリームなどの食べかすがたくさん付いた口でニーナが言う。
全く、まだまだ子供なのね。
リザはやれやれと呆れたように眉を下げ、
「いただきます」
とフレンチフライを受け取った。


