人間姫

もちろんニーナにも貴族たちの悪口は聞こえていた。
しかしニーナは歩みを止めず振り返らず、ケーキが置いてあるテーブルに向かっていった。

口論になってケーキが食べられなくなってしまうのが嫌だからだ。

「わぁっ、なんて美味しそうなケーキ」

そう目を輝かせると、一番大きい皿に様々な種類のケーキを盛り出した。

満足がいくとテーブルのすぐ下に座りこんでもそもそと食べ始める。
クリームが手に付けばぺろりと舌で舐める。

その姿はとても姫には見えなかった。

「エディおいで」

甘いものが気持ち悪くなると、ニーナはエディを呼んだ。

エディも相当なグルメで、普通のドッグフードは食べない。
これにはリザも困り果て、結局人間の食べ物を与えるようになった。

ケーキの皿を床に置くと、ちまちまと犬らしからぬ食べ方で、エディが食べる。

そんな姿を見て、「衛生上どうなのかしら」だの「しつけがなってない」だのと、貴族が騒きだすのだ。


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