辻斬り
だいいち、感覚・認識・意識が薄れ、まともな答えも問いも、もう得られやしまい。
そして、ついにすべて白く、ただ白く白く薄れゆくのみだ。

――だけど、俺は何もしちゃいないんだ。
あの子にきちんと誤解を解いておきたい、せめて……
霧がまた、意識ごと彼を包む。

あの時、出会ってしまったあの子のことをただぽつりと置き去りにして。
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