辻斬り
小声で交わす会話にもつい耳を傾けてしまう。もちろん嫌悪感を持ちながら。

「大体こんな山の中になんで行かなきゃいけないのよ、もお」
「しょうがないじゃん。テストの課題こなせなくて泣きついてようやく得たチャンスなんだから」

いやいやだろうが、やらなきゃならないことがある。
それがこのフィールドワークだ。
遊び呆けた末、単位を落としそうになった彼女たちは担当教授の立山(たてやま)に泣きついて今回のチャンスを得た。
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