辻斬り
「これは……」
鴻上の目の前には、光の胞子で出来たメッセージが広がっていた。
きっと、ゆりからのものだ。
「だいすきだよ」
たどたどしい、でも初々しい、そして、何よりいとおしい筆跡だった。
光のことばの先に鴻上はゆりの笑顔を見ていた。
ひと時だけやさしい夢を見せてくれた。

艶葉葺(つやはぶき)の花がほのかに咲いた。その裏にある言葉を伝えながら。
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