辻斬り
……愁傷
雨はやみ、森の木陰にうっすらと光が差し込んでいく。
木漏れ日が見えた。霧はやがて召されるように空に消えていった。

「霧が消えた?」
「空が……見える……」
「逃げおおせたのかな……俺たち?」
「……ねえ、町が」
「町、だって?」
「町よ、そう! 助かったのよ」
「助かった? 俺たち、助かったのか?」
「そうよ、生きて帰れたのよ!」
「生きて、帰ってこれたあ!」
「……よかった…生きて…」
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