辻斬り
鴻上は灘に尋ねた。
「止める人間は誰もいなかったんですか?」
「隣にいる人間が死にさえすれば、みんなの命が助かるんだって言われたらお前さんどうする? 一日だって長く生きたいと思うなら、しょうがねえことなんじゃねえのか?」
「――常軌を逸している。人殺しを容認しているなんて」
「まったくだ。おかしいことこの上ない。しかし文明とは程遠いところで生きてりゃ、いろいろとあるんだよ。村ならではの慣わしとかな。でもそれだって、明治、大正のころの話だ。4、50年前のことと繋げるにはいささか無理があるところだがな」
「でも、何でいまさらそんなこと調べなきゃいけないわけ? そんな奇妙なこと調べ明かしたところでなんの役に立つっていうのよ?」
「さあなあ、俺は教授じゃないから知る由も無い」
言った言葉は投げやり気味。
「止める人間は誰もいなかったんですか?」
「隣にいる人間が死にさえすれば、みんなの命が助かるんだって言われたらお前さんどうする? 一日だって長く生きたいと思うなら、しょうがねえことなんじゃねえのか?」
「――常軌を逸している。人殺しを容認しているなんて」
「まったくだ。おかしいことこの上ない。しかし文明とは程遠いところで生きてりゃ、いろいろとあるんだよ。村ならではの慣わしとかな。でもそれだって、明治、大正のころの話だ。4、50年前のことと繋げるにはいささか無理があるところだがな」
「でも、何でいまさらそんなこと調べなきゃいけないわけ? そんな奇妙なこと調べ明かしたところでなんの役に立つっていうのよ?」
「さあなあ、俺は教授じゃないから知る由も無い」
言った言葉は投げやり気味。