辻斬り
忘れた果てに、その仕事から半年後――

久しぶりの帰宅は悲劇で幕を開けた。
かつて安らぎの場所だったそこは、事件現場として扱われていた。
5歳になる娘が寝ていたベッドは、赤い血の跡が残っていた。

鴻上はその事実を拒否したかった。

ここは違う誰かの家で、俺の家じゃない、俺の家でこんなこと起こるもんか――何度も何度もわめき散らした。
最悪の事実は、受け入れたくなかった。

そばにいた警官が、ついにここで起きた事実を告げた。
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