辻斬り
寝るには早いがすることもない。
鴻上は暇つぶしにまずラジオをつけてみることにした。
とりあえず何かしていたら気が紛れるだろう、と。
ラジオの受信状況は最悪のひとこと。ザーザーとしか耳に入らない。
そういえば昼間、元刑事のあのおっさんが臨時ニュースを聞きそびれたといっていたが、何があったのだろう? 少し気になってもみた。
まあどうせ、こちらには関係ないだろう。そう思うことにした。
サイドミラーに誰かが歩いてくるのが見えた。

——あゆみだ。
こんな時間になんだろうか?
鴻上はあゆみに声をかける。

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