Dear.




「 ん・・・ッ・・・ッッ 」




あたしの顔色がおかしかったのか
何かに気付いた紫さんはすぐに
先生を呼んで、あたしは部屋から
”分娩室”に移動した。






「 大丈夫ですよ 」





経験を積んでいそうな看護婦さんが
あたしに声をかけてくれる。
痛みに顔を歪ませながらも、
精一杯 笑顔を作ってみたけど
それがちゃんと笑っていたのかは
自分ではよくわからない。







「 私に呼吸を合わせてください 」






子供の頃、ふざけてよくやった呼吸。
本当にこうなんだ。って思いながら
看護婦さんに呼吸を合わせる。







「 ・・・ッふ・・ 」







痛みからなのか、目には涙が滲んできて
頬を伝う汗は、看護婦さんが拭ってくれた。







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