勇者様と従者さま。
 しかしそのくらいわかれば充分である。

 というかもうこれ以上講義を聴き続ける自信がない。


 笑ってごまかそうとするエヴァにアーサーは鋭い目を向ける。

「…おい、エヴァ様」

「あのっ!」

「…なんだ」

 エヴァは話を反らそうと奮闘する。

「前から思ってたんですけど、エヴァでいいですよ?なんだか無理矢理様付けで呼んでるみたいですしわたしも居心地悪いですしっ」

「そうだな…」

 アーサーが思案顔になる。

 エヴァの目論見は成功…

「これはけじめだ。せめて様付けでもしないと勇者だと思えない。…そもそも認めたくはないが」

 しなかった。

「せめて勇者らしくなってもらおうと俺は必死なんだが」

「ーっ」


 そのとき、エヴァの脳裏に閃くことがあった。

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