勇者様と従者さま。
 巫女様の訪問を受けては、ぼけっとしているわけにはいかない。

 急ぎ、大広間に全員が集められた。


「巫女様?わあ、お綺麗なかたですねえ!」

 眠い目をこすりながらやって来たエヴァが感嘆の声を上げる。

 …確かに、ナナイは綺麗な女性だった。

 結い上げた長い黒髪や、幾重にも重ねた衣の似合う繊細な美貌の中で、灰色の瞳だけが快活に輝いている。

 大人びているような、あどけないような、とらえどころのない魅力は目を惹き付けた。


 エヴァの言葉を聞いて、ナナイはにっこりした。

 その笑顔だけでざわめきが走る。

「はじめまして、勇者エヴァ。素直でかわいい子みたいでうれしいわあ」

「あっ、その、あの、はじめまして」

 エヴァが緊張に頬を染めながら挨拶する。

「ほんとにかわいいわ!…アーサー=ゴールドスミス!」

 ナナイは突然アーサーのほうを向く。

「…はい」

「あなたもエヴァを見習いなさいな。女性に仏頂面なんて神経を疑うわね。もてなくってよ?」

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