勇者様と従者さま。
「…別にもてようとは思っていません。それより何の御用です」

 アーサーはここぞとばかりに不機嫌な顔になる。


「まあー、面白くないこと!ねえ、エヴァ?」

「あ?は、はいっ、その通りです」

 エヴァはナナイに抱き着かれておろおろしていた。

「ま、いいわ。みんな、よくお聞きなさい!」

 ナナイはその体勢のまま、凛、と声を張る。

 皆が耳を傾けた。


「討伐隊…解雇よ」

 アーサーは耳を疑った。

 それは昨晩エヴァと話していた…

 もちろん、こちらからはまだ連絡を出していない。

 まわりも信じられないといった様子だ。

 ナナイは優雅に笑っている。


「それは…」

「神託が降りたわあ」

 その一言で、再びざわめいた。

 神託…それは絶対。

「勇者と従者だけで行かせろと。討伐隊が多くいてもろくなことにはならないと」

「しかしっ…」

 隊員の中から反発が漏れる。

「…あなた達、司祭に取り憑いていたみたいな魔物に、取り憑かれない自信あるかしらあ?最悪の未来が見えるのよ」

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