勇者様と従者さま。
 …近寄りたくない。

 アーサーは生命の危険すら感じて後ずさった。


 とにかくこの危機を脱出しようと頭を働かせる。

 その時、素晴らしい考えが浮かんだ。


「せっかく旅なんだから!ここは野趣あふれる感じで串焼きとか!」


 エヴァはゆっくりと振り向いた。

 体全体に、返り血のような野菜のかけらが飛び散っている。

 にいい、と唇に笑みが浮かんだ。


「いいですね、それ」



 …そうして、今にいたる。

 焚火の上には白銀に輝く聖剣が翳されていた。

 切っ先には、野菜と塩漬肉が突き刺さっている。

 聖剣のあるじは真剣な目で焚火を見守っていた。


「…あつい」

 シュリがぼやく。

「すまない」

 アーサーは心からの同情を込めて言った。

「…いや、従者を食あたりにするわけにはいかぬ。我とて聖剣、堪えてみせよう…熱い!あるじ!もっと離せ!!」

「黙っててください!」


 アーサーは切に思う。

 街についたら何がなんでも料理本を手にいれよう。


「だから、熱いと言っておる!」

 聖剣の先では、野菜に焦げ目がつきはじめていた。

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