勇者様と従者さま。
4*幸福の鐘

こんな都会で…野宿か。

「ありがとうございました、勇者様」

 村人たちが頭を下げる。


 エヴァとアーサーが聖堂の村を旅立ってから二週間が過ぎていた。

 本当に魔物は増えているようで、下級の魔物とはいえすでに数体片付けていた。

 シュリの力に頼るきらいはあるものの、エヴァも戦うことに慣れてきている。

 そうして魔物を倒しては、これまで苦しんでいた村人たちに感謝されていた。


「わあ!従者さま見てください、お野菜がこんなに!!」

 エヴァが貰ったお礼の袋を見てはしゃぐ。

「…我はもう串焼きは嫌だ」

 シュリが憂鬱な声を出した。

 諸事情で、数回ほどシュリの剣身での串焼きが行われたのは記憶に新しい。

 ちなみにシュリは、その辺でしゃべっても驚かれないようにと子供の姿をとっている。


「ごめんなさい、シュリ。だけど従者さまが串焼きお好きなんですもの」

 エヴァがあっけらかんと言う。

 そんな無茶な扱いをしてもシュリの輝きはまったく衰えない。流石は聖剣といったところか。

「…あるじ。問題は従者ではなくあるじにあると思うが」

「えー?」

 エヴァはまったくわかっていない様子だ。

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