俺様☆姫様★王子様 3


ピリリッ、ピリリッ




どうやら音源は天宮社長のジャケットから。

苦笑いをしたあと、手のひらサイズの小さなそれを取り出すと、カン高いノイズが漏れてくる。



天宮社長は事務所に戻らなきゃいけなかったみたいで、どうやらそれは大幅に時間をオーバーしてるらしい。


「…すまない、ヒメ。仕事の接待が詰まっているのをすっかり忘れていたよ」


余程怒られたのか、携帯を閉じながら、ぽりぽり後頭部を掻く姿。

少年のようなその仕草、いつも独特のオトナオーラを放つ社長と同一人物には見えない。


だからあたしはコクンと縦に頭を振った。


「何でも好きなものを食べなさい」


ジャケットを羽織ながら、壱万円札がテーブルにそっと置かれた。


「こんなにっ…」


「マルマルの地下街で買って帰りなさい。芸能人が試食なんてみっともないぞ?」


歯を見せて、早足で行ってしまった。

「外ではサングラスくらいしなさい」なんてお土産を残して。



………バレてたか;


< 2 / 90 >

この作品をシェア

pagetop