俺様☆姫様★王子様 3
ピリリッ、ピリリッ
どうやら音源は天宮社長のジャケットから。
苦笑いをしたあと、手のひらサイズの小さなそれを取り出すと、カン高いノイズが漏れてくる。
天宮社長は事務所に戻らなきゃいけなかったみたいで、どうやらそれは大幅に時間をオーバーしてるらしい。
「…すまない、ヒメ。仕事の接待が詰まっているのをすっかり忘れていたよ」
余程怒られたのか、携帯を閉じながら、ぽりぽり後頭部を掻く姿。
少年のようなその仕草、いつも独特のオトナオーラを放つ社長と同一人物には見えない。
だからあたしはコクンと縦に頭を振った。
「何でも好きなものを食べなさい」
ジャケットを羽織ながら、壱万円札がテーブルにそっと置かれた。
「こんなにっ…」
「マルマルの地下街で買って帰りなさい。芸能人が試食なんてみっともないぞ?」
歯を見せて、早足で行ってしまった。
「外ではサングラスくらいしなさい」なんてお土産を残して。
………バレてたか;