俺様☆姫様★王子様 3

②★



そして街と、かなり離れた港に降ろされたあたし。


ここは知ってる。


パパが釣りをするときに連れてきてもらった事がある場所。


ぶわっとひと吹きすると、潮の香りがあたしを包んだ。


懐かし…。


子供の頃は此処に来るのが楽しみだったんだよね。


防波堤に打ち付ける波を、体をちょっと乗り出して見てるのが好きで、よく怒られたっけ。

ポチャンとか、タプンとか、不思議な音がして楽しかったし、ゆらゆら揺られてる小魚とかが子供ながら凄く健気に見えて。


あの頃からパパはお仕事で海外ばっかり行ってて寂しかったな……。

だけどママが異常な位に寂しがりな所為か、出張の度に大泣き。

だからあたしが寂しいなんて言っちゃいけないって思って、普通のフリしてたんだよね。



ふらふらと埠頭を歩きながら、昔話を思い出していた。



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