キスして。



ただ、彼氏よりピアノのほうが大事だっただけ。


それだけなの。


大好きなことをしながらお金がもらえて、それでいて、恋もしていて……

あたしはこのまま幸せ街道まっしぐらだと思ってた



それなのに、

「ピアノと結婚するヤツとは付き合えねぇ」


こんなことを言われて。
それでもピアノを愛して止まないあたしはバカだろうか…




「すみれちゃん、いつもありがとうね」


雇い主の加藤さんは柔らかく笑っている

この人は有名なピアニスト





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