シンアイ〜彼と私に神の御加護を〜【完】
身動きが取れないより、颯太の安否がわからない事が何よりも辛い…。

私は颯太に《家で待ってます》とメールをして、歩き出す。

タクシーはサラリーマンの人に取られてしまうし、地下鉄に乗っても、最寄り駅から20分。

無意味なんだ。



「ふぇ…ん…っ…」



私は人通りの少ない道で、寂しさがピークに達した。

道端で踞り、涙を流す。



「…うわぁ゛ー…ん…っ!」



…颯太に会いたい…っ…!!



「琉架――ッ!!」



…幻聴なんて嫌だ…っ…!!



「琉架、ごめん…っ」



でも、幻聴なんかじゃない。

あまりの勢いに倒れそうになった位に、後ろから抱き締められたもん。

大好きで愛しい香りと温もりが、私を包んだもん。
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