シンアイ〜彼と私に神の御加護を〜【完】
私は手袋に着いた溶けた雪の滴を払いながら、「おはよう」と立ち上がった。

まだ眠たいのか、颯太は欠伸をしながら「行くか」と歩き出す。



「そ……」



「今日、雪子と帰るけど、どうする?」



私は話したかった事があったけど、颯太に話を遮られた。

“雪子”…。

私は颯太からゆっこの名前が出る度に胸が痛む。

気付かないようにしながら、私は「1人で帰る」と言う。

邪魔をしたくないって事もあるけど、2人の手を繋ぐ姿を見るのが辛いんだ。

たまに無理矢理、連れて行かれる事もあるけどね。

…ごめんね。
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