高熱にベッド<短&番外>


相手は病人だし。
仕方ないし、悪化しちゃいけないし。



そう言い聞かせてみるものの、心臓のドキドキと手の震えは止まらなくて。

「ばんざい、して下さい」

『…うーい』

露になった永樹さんの上半身に、馬鹿みたいに心臓が跳ね上がる。

…こんなの反則…!!


不謹慎だが、汗で濡れる肌に乱れる髪、荒い息に辛そうに歪む眉に目。


……一瞬で悩殺だ。


『えっちな事考えてるでしょ…』

真っ赤になって動きが止まってしまっていた私を見上げて、ニヤニヤと笑いかける永樹さん。


「考えて……ません…」

『嘘つき』



見破られて、どうしたらいいか分からずに直ぐにばれる嘘をついた。


「タオル…濡らしてきますっ」


そして理由をつけて一旦避難。





水道の前で息をついて、心持ち心臓が落ち着いてくれた気がする。

でも、次はあの体を拭かなければならないのだ。


タオル一枚という薄い遮りの向こうは永樹さんの生肌。



…邪念を捨てなきゃ!
これは、永樹さんのためにする事で。

不要な感情は捨て去って只の看病だ、と言い聞かせるんだ。



「お待たせです」


しかしこの決心は、


『はやく……』



永樹さんから放出される色気を前に、揺らぐ、


『那、子…』



揺らぐ、



『は…っ…』



揺らぐ。







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