高熱にベッド<短&番外>

辛そうに息を吐いては吸ってを繰り返す永樹さん。

なんだか無性に生々しい。


ふざけた事言っていた永樹さんだけど、本当は凄く辛いんだ。


『……暑…』

足元に丸まっていた掛け布団を足で蹴とばして、請うような目で私を見つめたかと思えば、


『那子……手…』

力の無い手を私に向かって伸ばす。

言われた通りに手を伸ばせば、即座に掴まれ、そのまま自分の顔に寄せた。


『那子の手冷た……』

私の手を頬にあてて、気持ち良さそうに目を瞑る。


手のひらから伝わる永樹さんの熱。

熱くて、熱くて。


「タオルの方が冷たいですよ…?」

『那子がいい……の』

そう言って私の手を離さない永樹さん。


私の手に顔をすり寄せる永樹さんがなんだか可愛い。


仕方がないからそのままで、タオルで体を拭きはじめる。


照れるけど、意識が飛びそうにしんどそうな永樹さんは、意地悪を言ってこなさそうだし。
何よりずっとこの格好でいさせたら、治りが遅くなってしまう。


……なんて余裕ぶってた私だったけど、


『ん……』




時折唇から漏れる熱い吐息に、自分まで熱が出てしまったかのように、体中が熱くなった。



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