高熱にベッド<短&番外>
やるせない感じを抱いていた私だったのに、
「こげてるやつ…残していいですよ?」
『なんで?』
「えっ…だって不味くないですか…?」
永樹さんはその、こげた物を口にポイと投げ入れてよーく噛んで飲み込んだ。
『うん、美味し。流石那子』
「………」
まんまと喜ばされてしまう。
本当にずるいんだから。
「もう…!好きだなって思っちゃったじゃないですか…!!」
ならば私も少しくらいは素直に。
『何それ可愛い』
恥ずかしさを紛らわすために不自然にバクバクと料理を口に運ぶ私は既にいっぱいいっぱいなのに、永樹さんは立ち上がって私の背後に立つ。
「な、なんですか…」
『んな可愛い事言って、なんかされたいのかな、と思って』
「そそそうゆうワケじゃ…!」
珍しい試みは結局、いつもの永樹さんを呼び起こしてしまって。
『こがしちゃってごめんね?那子のエプロン姿が可愛すぎたからつい、さ』
「い、今はエプロン姿じゃないですけど……!」
なのに後ろから抱きついてくる永樹さん。
『所詮エプロンだよ』
「〜〜…!何言ってるのか分かりません…!!」
『だからー、俺は那子だったらいいんだって』
言葉が発せたのはここまでで。
まだ食べ終わってないというのに、しばらく唇は離れる事は無かった。